深夜ともなれば、幹線道路沿いの公園には人気が無い。
犯罪防止にと立てられた無数の街灯だけが晧晧と照り、昼間はサラリーマンやOLたちが
憩うベンチを冷たく照らしている。
そんな中、二人の男が公園の入り口に立っている。
二人とも二十代半ばだろう。
育ちの良さそうな童顔の青年はどこか落ち着かない様子で辺りを見回しており、もう一人
の浅黒く日焼けした青年は脱色された薄い色の髪を掻き揚げながら、伏し目がちに周囲を
伺う相手に話し掛けているようだ。
だが、その光景はある一点のために違和感を禁じ得ない。
先ほどから落ち着かない一人は、一糸纏わぬ姿なのだ。
「さっさと入れば?」
怯えた様子の相手を促し、日焼けした青年が背中を押す。
押された方はすがるような目を向け、消えてしまうほどの小さな声で訴える。
「公園の中、明るすぎる・・・」
「なんだ、人に見られるのを恐がってるのか」
人を惹き付ける茶目っ気のある微笑みを浮かべ、色黒の青年は道路側を見た。
大型トラックが轟音を立てながら次々と通り過ぎて行く。
自動販売機の横は一応の陰にはなるが、先程から何台かの車はこの異様な光景に気付いた
ようだ。
「ここは車通りが多いな。お前の会社の連中も通るかな?」
その言葉に弾かれ、躊躇っていた青年が公園に足を踏み入れた。
外界から遮断するように茂る立ち木の向こうに、手入れされて青々とした芝生がある。
二人はそこを素通りし、その先にある児童用の遊具へと足を向けた。
滑り台、ブランコ、シーソー、廻旋塔、雲梯、バネ仕掛けのライド、砂場。
「すごいね。一通り揃ってる。藤原はどれが好き?」
日焼けした青年は鬱陶しいほど伸びている前髪を掻き揚げ、うつむいたままの相手に問う。
彼は答えなかった。
ただただ地面を見つめ、誰にも気付かれぬよう心の中で祈りながら息を殺している。
「返事が無いなら、俺が決めるぜ?」
「・・・決めるって・・・っ?」
藤原と呼ばれた青年が顔を上げた。
明らかに怯えの色が濃くなったその顔に、満足そうに浅黒い顔が破顔する。
「さっき言っただろ?外で遊ぼうってさ」
怯えた顔が、今にも泣きそうな表情へと変化した。
「もう・・・勘弁してくれ・・・」
「あれ?また泣くわけ?」
おどけた調子で藤原の顔を覗き込むその瞳には、冷たく強い光が宿っている。
抵抗を許さない眼差しを避け、藤原は涙の零れそうな顔を背けた。
「泣いたってダメだ。俺の言うこと聞くって約束しただろ。それとも、もう契約は必要な
いのか?」
契約と聞いて、藤原の表情が変わった。
「それは!」
「そうだよな。これ以上契約が取れないと、お前会社に居辛くなるもんな」
絶対に逆らえない理由を突きつけられ、藤原は奥歯を噛み締めて再びうつむいた。
業績の上がらない彼が昔の同級生を頼って電話したのが一週間前、その時相手から提示さ
れた契約の条件はただ、「言うことを聞く」というものだった。
金銭絡みの要求なら無理だと断ろうとすると、同級生は「労働奉仕でいいよ」と答えた。
労働奉仕の意味を気付けなかった彼は要求を飲み、その結果予想を遥かに越えた事態を迎
えるに至ったのだ。
「うちで遊ぶのと同じさ。場所が変わっただけ。いいじゃんか」
「石田・・・頼むから、もう帰してくれ。家の中でなら、なんでもするから」
藤原の声は明らかに涙声だった。
泣き出すまいと堪えているのか、声が震えている。
「・・・分った」
呆れたように溜め息をつき、しかめ面の青年が背を向ける。
「だったら俺は帰る。お前は歩いて帰れ」
ひっと悲鳴のような小さな声が、藤原の喉から出た。
「そんなの無理だっ・・・今からじゃ朝になって・・・・!」
「だろうな」
振り向いた顔には愉悦の表情が浮かび、残酷な眼差しが藤原を射る。
「会社の連中やらご近所さんやら、みんなにお前の身体を見てもらうんだな」
呆然と立ち尽くす相手を尻目に、ポケットのキーをジャラジャラ鳴らしながら青年が歩き
出した。
事の重大さに藤原が取り縋ったのは、ほんの数歩進んだ時だった。
「言うこと聞きます!置いていかないでくれ!」
「雲梯ってこんなに低かったんだな」
石田は足を折り曲げて雲梯にぶら下がった。
大柄な彼の足は曲げた膝が地面に着きそうなほどで、適当な掛け声をかけては懸垂を繰り
返す。
しかし、藤原にはそれを見る余裕はなかった。
「なんだ、楽しくないのか?」
石田は上を見上げて微笑む。
そう。
藤原は雲梯の上に座らされていた。
それも足を大きく開いて横木の間に通しているため、彼は足を閉じることも、下からの視
線から陰部を隠すこともできないのだ。
雲梯の上に大股開きに乗り、街灯の明かりを受けてオブジェのように晒される自分。
こんな格好では、公園のどの入り口からも彼の姿がはっきりと見えてしまう。
「ここからの眺め、スゲーぞ。キンタマとケツ穴の間までしっかり見える」
その言葉に彼は、臀部の質量のある肉が錆びた鉄に食い込む痛み以上に、恥ずかしさに震
える。
「いい眺めだ。もっと良く見せてもらおうか」
石田はキーホルダーに付いたペンライトを点灯した。
ほの暗い弱い明かりは、それでもしっかりと藤原の股間を照らし出す。
「スッゲ、卑らしい」
うっとりと石田が呟き、剥き出しの肛門に触れる。
触れられるとひくんと震える括約筋を、面白そうに弄る。
「ケツオナニーして見せろ」
彼は極上の微笑みを浮かべ、命令した。
アナルを使ってのオナニーは、三日前に教え込まれたものだ。
彼は初め細身のバイブを使って前立腺で感じることを覚えさせ、さらに四日かけて肛門の
拡張を施した。
夜は特大のソーセージのようなバルーンを使って念入りに広げ、昼間はプラグを装着した
まま出勤させる。
おかげで藤原の肛門は緩み、この一週間でぬめるものなら指だろうとペニスだろうと受け
られるようになっていた。
ただし、未だそれだけで達することは無かったが。
無言のまま藤原が自分の右手の指を口に運び、たっぷりの唾液を絡ませる。
ねとりと濡れた指が街灯の光を受けて夜空を背景にきらきらと輝く。
指はそっと探るような手付きで肛門に添えられ、それから深く息を吐いた次の瞬間に二本
同時に押し込まれた。
「んぅ・・・・・っ」
藤原の眉間に皺が寄り、飲み下した唾液で喉が上下する。
彼はもう一度緩く息を吐くと、さらに奥へと指を進める。
「ふっ・・・・!」
ねちょり、と卑らしい音がして、動きが止まった。
「どうした。この前教えた通りにやれよ」
「待ってくれ、もう少し・・・慣らしてから・・・」
やがて異物感に慣れたのか、二本の指がゆるゆると動き始める。
軽く手首を捻るように内壁をまさぐり、前立腺を押し上げ、そこを支点にして括約筋を揺
さぶる。
腹筋がきゅうっと引き締まり、形の良いへそがひくつく。
「ぁ・・・・あ・・・・」
気持ちが良いのだろう。意識せずに漏れる吐息に切なさが混じり、何よりも彼の肉棒は半
勃ちになって肛門を蹂躪している右手によりかかっていた。
「どんなカンジだ?言ってみろ」
「・・・・はぃ・・・」
薄らと朱のさした頬を石田に向け、藤原は目を瞑ったまま応える。
「お尻の奥が、気持ちいい・・・です」
「言葉が足りねぇな。ちゃんと説明しろよ」
意地の悪い命令に一瞬表情を曇らせた藤原は、それでも怒らせまいと命令に従う。
「前立腺を指で・・・押すと・・・気持ち良く・・・」
「どんな風に?」
「・・・・こうやって・・・」
二本指がぐいっと押し込まれ、指先が前立腺をこりこりと揉む。
「ぁひっ・・・奥まで押し込んでっ・・ぁ・・指で、ああ!押し上げるとっ」
ひくひくと収縮していた会陰がぎゅっと縮まり、陰嚢が上に上がる。
下半身全部に広がるような甘い悦びを味わう藤原は、三本目の指をも挿入して尻の奥底を
刺激した。
「ぁ・・はん・・っ・・・・お尻が、気持ちいいですっ」
妖しい生き物のように蠢く指に広げられ、輪のような括約筋の向こうに暗い空洞が見える。
石田はペンライトで照らしながらその中を覗き込んだ。
「中は真っ赤だな。卑らしくひくついてる。よーく見えるぜ」
今や完全に起立したペニスは、いつもは少し皮を被った部分も綺麗に剥けて、腹と手首の
間で揉まれながら小さな滴を浮かべている。
「・・・んんふっ・・・んう・・・っ」
さらに大胆になった指の動きは会陰まで揺り動かすほど大きく肛門を揺さぶり、貪欲に奥
を責め立てる。
パンパンに膨れ上がった陰嚢が手首に押し潰され、腕の動きに合わせて中の睾丸をも動か
す。
「あぁ・・・ぃいっ・・・いいです!お尻!・・ああっ」
「淫乱」
石田は一言だけ言うと、藤原の手首を掴んで引き剥がした。
ぶちゅっと粘質の音がして指が抜かれ、まだ締まりきらない肛門が内壁を晒す。
「・・ぁ・・あ・・・」
びくんっと藤原が痙攣し、筋肉が弛緩した。
「たった一週間でケツをガバガバにして、指、咥え込んで」
「だって、それは・・・」
「お前、ホンモノの変態だな。まだケツが開いてひくひくしてやがるぜ」
罵倒され、藤原の目に動揺が走る。
ペンライトで照らされた肛門は物欲しそうに卑猥な動きを繰り返し、指を入れた時に同時
に入ったであろう空気が奥からぷすりと抜けてゆく。
「こんな緩んだケツマンコじゃ、俺が入れてもつまらない」
蔑みの目を向け、石田はパーカーのポケットから何かを取り出した。
「鍛えるか」
目の前にあるのは、黒いゴム製のバルーンだった。
いつも拡張に使うソーセージに似た一様に長いだけのものとは違い、男根に似せた形に作
られており、手元のポンプを握ると幹の部分がぐっと膨らむ。
根元近くは意外に細く、その先には蓋のような円形の土台があった。
石田はそれを少しだけ膨らませると、藤原に渡す。
「入れろ」
潤滑ローションの塗っていないバルーンを、藤原は指と同じように唾液で湿して肛門に挿
入した。
「ずいぶんと楽そうだな」
軽蔑するような響きが言葉に混じり、藤原は下唇を軽く噛み締めた。
誰のせいでこんな身体になってしまったのか、という台詞を飲み込み、ゴムチューブの下
がる重いバルーンが抜け落ちないように手で支える。
「膨らませるぞ」
ぷしゅっと音がして、バルーンが膨らみ始めた。
幹を中心に太さが増し、カリに相当する部分がエラを広げる。
容赦無い注入でどんどん体積を増やすバルーンは、やがて腸内を埋め尽くすほどの太さに
なって藤原を苦しめた。
しかもバルーンの根元は相変わらず細いままで、括約筋をストッパーにして腸内に留まる。
もはや手を放すどころか力んでも抜けないほどに太くなったバルーンに、藤原は低いうめ
きを上げながら耐えるしかない。
だが、石田の出した命令はあまりにも過酷だった。
「排泄しろ」
命ぜられるまま腹力を入れバルーンを押し出そうとするが、まるで栓のようなそれは少し
も出てくる気配が無い。
「無理です・・・」
「気合が足んねえからだ」
石田の目がにいっと笑い、バルーンから下がったコードの先にあるスイッチが入れられた。
「真剣にやらないと、酷いことになるぞ」
「ぁああぁあああああああっ!」
藤原は誰かに見られることも忘れて叫んだ。
バルーンにはバイブレーター機能が付いており、直腸いっぱいになったそれが激しく振動
し出したのだ。
「あぁうひぃぃいいぁああああ・・・っ」
髪を振り乱して首を振り、藤原の上半身が奇妙にくねる。
前立腺を押すどころか、思い切り叩かれるような刺激を与えられたのだ。
先走りがどっと溢れ出し、糸を引きながら滴り落ちる。
上半身につられて揺れ動くペニスのせいで、それは緩やかに弧を描きながら空気中に光り
の線を作った。
「止めてっ・・死ぬ!んうあ!頼む!あんぅあぁ・・・っ!」
びくん、びくんと全身で痙攣を繰り返す藤原の目から、涙が零れる。
「いやなら、排泄しろ」
命令に従い必死で尻を引き締めた藤原は、そのせいでさらにしっかりと伝わった振動に悲
鳴ともよがり声ともつかない声で叫ぶ。
その責めは結局、藤原が初めて尻の刺激での射精を迎えるまで続けられた。






